エントリーシートのAIチェックで分かること
エントリーシートの文章を貼り付けると、ES全体のAI率と、AIらしさが強い文を「要確認」として表示します。自己PR、ガクチカ、志望動機など複数の設問をまとめて貼り付けても判定できますし、気になる設問だけを個別に判定することもできます。
ESのAIチェックで大切なのは、全体のAI率よりも要確認の文です。ESは設問ごとに400字前後と短いため、全体のスコアは一文の書き方で大きく動きます。要確認と表示された文を読み、「この文は自分の経験が入っているか」「他の応募者が書いても同じ文になるのではないか」と確かめることが、AI判定を避けるためだけでなく、通過するESを書くためにも役立ちます。
- ES全体のAI率
- 設問ごと・文ごとの要確認表示
- 文字数に応じた信頼度
- 書き直し後の再判定
ESがAIっぽい文章になりやすい理由
就活でのAI利用はすでに多数派です。マイナビ キャリアリサーチLabの「2026年卒 大学生キャリア意向調査4月」(2025年5月)では、就活でAIを利用した学生は66.6%、利用目的の1位は「エントリーシートの推敲」で68.8%、「ES作成」も40.8%でした。推敲に使うだけでも、AIは文を整えすぎる傾向があり、結果として誰が書いても同じような文になります。
使った本人もそれを感じています。ブンナビ(キャリアパートナーズ)の「27卒AI活用調査」(2026年7月)によると、AI利用者の37.2%が「AIっぽい文章になってしまった」と答え、18.6%が「面接で深掘りされた際に不安を感じた」と回答しました。「自己PR・ガクチカの作成・添削」に使った学生は77.4%、「志望動機」は69.9%です。ESの主要な設問のほとんどで、AIの文章が混ざっている状況だと言えます。
AIっぽいESの典型は、「貴社の理念に共感し」「多様な価値観を持つ仲間と協働し」「課題解決力を培いました」のように、どの企業・どの学生にも当てはまる文の連続です。読み手はそれを「AIが書いた」と断定するわけではありませんが、「この学生のことが分からない」と感じます。AIチェックは、その感覚を数値と文単位の表示に置き換えたものだと考えてください。
AI率と信頼度の見方(ESの場合)
AI率は、文章がAI生成文と似た統計的特徴をどれだけ持つかを示す確率です。AIを使ったことの証明ではなく、使っていなくても高く出ることがあります。特にESは、文字数制限の中で定型表現を使いがちなため、人が書いても高めに出やすい文書です。
判定結果には信頼度が付きます。400文字未満の文章は判断材料が少なく、信頼度は「低」になります。ESの設問は400字前後が多いため、設問一つだけを判定すると信頼度が低くなりやすい点に注意してください。ES全体(複数の設問)をまとめて貼り付けると、信頼度が上がり、要確認の文の抽出も安定します。
どの程度のAI率なら問題ないかは、一律には言えません。目安として、AI率が高くても要確認の文が自分の経験に基づいた内容で説明できるなら、数値を下げるためだけに書き換える必要はありません。逆に、AI率が低くても、内容が一般論ばかりなら通過しにくいESです。
AI判定されたESの書き直し方
要確認の文を直すときは、文の形ではなく中身を変えます。語尾を「〜です」から「〜でした」に変える、漢字をひらがなに開く、といった表面の調整では、AI率はほとんど動きませんし、読み手の印象も変わりません。次の三点を意識して、文を自分の経験に引き戻してください。
再判定は一度で終わらせず、直した箇所が本当に自分の言葉になったかを見る工程です。Uravationの判定ログ調査(2026年7月18日〜9月5日、72,971件)では、同じ文章を2回以上判定した人は39.7%にのぼります。また、60分以内に書き直して再判定した36,038組のうち、AI率が5ポイント以上下がったのは35.9%、上がったのは31.6%でした。書き直しが裏目に出ることも多いので、直す方向を間違えないことが重要です。
- 経験:「チームで課題に取り組みました」を、いつ・どこで・誰と・何をしたかが分かる一文にする
- 固有名詞:「サークル活動」ではなく団体名や大会名、「アルバイト」ではなく店舗や業務の名前を書く
- 数字:「多くのお客様」「大幅に向上」を、人数・期間・回数・前後比較の数字に置き換える
- 再判定:書き直したら同じ設問をもう一度判定し、要確認の文が減ったかを確認する
企業はESのAIチェックをしているのか
現時点では、企業の多くはAIチェッカーによる機械的な選別をしていません。マイナビの企業調査(2025年)では、学生の生成AI利用を実感している企業は12.3%(前年比+7.7ポイント)で、多くの企業は「対策する予定はない」と回答しています。
ただし、別の形の対策は始まっています。ロート製薬は2025年12月、2027年入社の新卒採用でESによる書類選考を廃止し、「Entry Meet」を導入すると発表しました。理由は「生成AIの普及による応募書類の均質化」です。ESがAI判定されるかどうか以前に、ESそのものが差を付けられない書類になりつつある、という認識が企業側にあります。
だからこそ、ESのAIチェックの目的は「AIを使ったことを隠す」ことではありません。自分のESが他の応募者と同じ文章に見えていないか、面接で深掘りされたときに答えられる内容になっているかを確認するための工程です。AI率の数値より、要確認の文を自分の経験で語り直せるかどうかを基準にしてください。
誤判定と注意点
ESは誤判定が起こりやすい文書です。文字数制限の中で丁寧語を使い、「貴社」「貢献」「成長」のような定型語を使うことが前提になっているため、人が一から書いたESでもAI率が高く出ることがあります。英語圏の検出器であるTurnitinでも、文単位で約4%の誤検出率を公表しています(Uravationの記事による)。文単位の要確認表示は、精度の高い検出器でも一定の割合で外れると考えてください。
逆に、AIで生成した文章に自分の経験を詳しく指示して作らせた場合や、生成後に大きく手を入れた場合は、AI率が低く出ることがあります。判定結果はESを見直すための参考値であり、合否の予測でも、AI利用の証拠でもありません。要確認の文を自分の言葉で説明できるかどうかを、最終的な判断基準にしてください。
